| C型肝炎(HCV)治療にHIVの経験を生かせるか? |
| HIVウィルス保持者の感染進行を妨げる薬が、AIDS症状、死亡を減らすのに大きな効果があった。 現在、治療薬メーカーは、第一段階のC型肝炎(HCV)のための治療薬において、HIVにおける治療薬と同様の目的(ウィルスを新しい細胞に感染させない)の研究を開始した。HCVとは肝臓の致命的な疾患の原因であり、HIV感染者よりもはるかに多くの患者がいる。 「この薬が効けば、HIV治療薬が効くように、HCVにインパクトを与えるかもしれない。」とサンディエゴのウィルス研究所のフランク・チサリ教授は言う。 C型肝炎は現在、アルファ・インターフェロンと呼ばれる免疫システムのタンパク投与と、リバビリンと呼ばれる錠剤のコンビネーション治療で行われている。このコンビ両方の最も最新の組み合わせは、事実上HCV感染患者の約半数で、ウィルスを減少させている。 しかし残る半数の患者ではウィルスは威力をもったままである。さらに、治療には非常に重い副作用があり、貧血、出生時の欠陥、風邪様症状、鬱症状であり、さらには自殺を起こすことさえある。 「より毒性の少ない、良薬の出現が非常に期待されている。」とワシントン大学の微生物学教授であるマイケル・G・カッツェ教授は言う。 C型肝炎をたたくためのインターフェロンでもなくリバビリンでもない新薬が研究されている。どちらの薬(インターフェロンとリバビリン)もウィルスを攻撃するのを助け、免疫システムを通常アップさせるということはわかっているが、研究者たちは、それが実際どのようなメカニズムで効くのかは完全には解ってはいない。 しかし、新しいC型肝炎治療薬は臨床試験段階にすすんでおり、その目的は、C型肝炎ウィルスを複製するのに必要な、プロテアーゼ、ポリメラーゼといった酵素を阻害するものである。と同様に、AIDS治療薬も実は、HIVウィルスが複製を行うために二つの酵素を必要としていて、それらは、プロテアーゼと逆転写酵素である。AIDS治療薬のいくつかはB型肝炎には有効であるが、C型には有効でなく、それは肝炎の機序が違うためである。 この新薬が有効となるまでには数年かかるであろう。しかし、研究者たちは、ドイツの薬品会社、ベーリンガー・インゲルハイム社が、11月にボストンのアメリカ肝臓病研究協会の学会で報告したメカニズムの証拠に励まされている。 会社側の報告では、たったの二日関、その実験的なプロテアーゼ阻害剤である新薬を摂取しただけで、ごく少ない一部の患者では、ウィルスのレベルが数百レベル、数千レベルという範囲で患者のウィルス量が減少した。 「ある種の沈黙が聴衆を覆った」とマンハッタンのロックフェラー大学のC型肝炎研究センターの所長であるチャールズ・M・ライス教授は繰り返し言った。 他(の薬品会社)も競争段階に入っている。ペンシルヴァニア州、エクストンのバイオテック会社であるバイロファーマ社は、1月に声明を出し、ポリメラーゼ阻害剤の臨床試験をウェイス社と提携して行うと発表した。また、マサチューセッツ州、ケンブリッジに拠点を置く、アイデニックス・ファーマケチュアル社は、同様に声明を出し、日本たばこ社が、ポリメラーゼ阻害剤の臨床試験の中間ステージに相当する第2相試験について報告を行ったと発表した。 さらに、ケンブリッジのバーテックス社は、今年の終わり頃C型肝炎のプロテアーゼ阻害剤の臨床試験を開始すると言い、カリフォルニア州、南サンフランシスコのリゲル・ファーマケチュアル社は、ポリメラーゼ阻害剤の試験を今年開始する計画があると発表した。カリフォルニア州、カールスバッドのアイシス・ファーマケチュアル社は、C型肝炎の違う部分をブロックするインターフェロンの第2相試験を実施中である。 C型肝炎はアメリカ国内で、400万人が罹患していて、世界中には1億7000万人の患者がおり、HIV患者の約4倍である。 C型肝炎は、殆ど、針刺し(事故)や輸血により感染が拡大し、SEXによるものはまれである。国内で新たに感染する率は、1990年にウィルスが発見されて(血液の)スクリーニングテストが実施されて以来、1年に25,000件と急激に減少している。しかし、このテストが行われる以前に、兆候のみられなかった人で、多くの感染者が存在している。疾病予防・コントロールセンターは、推計で、アメリカ国内でC型肝炎で死亡する数を毎年8,000人から10,000人と推計していて、2010年までにその数はおそらく3倍になるであろうとしている。 しかし、いまや、12を越える数のHIVの酵素を直接阻害する新薬が開発されている間に、C型肝炎に有効なものは一つも開発に至っていない。 この両者に差がついた理由のひとつは、HIVウィルスが発見された4年後の1988年になってC型肝炎がウィルスによるものと発見されたからであろうと研究者たちは言っている。さらに、依然として、数多くのAIDSの治療新薬が今後15年以内に承認されるであろう。それとは対照的に、C型肝炎ウィルスのほうは、発見されて以来この15年で、最初の治療薬が臨床試験に入った段階である。 別の理由としては、同じ研究者が言うには、HIVのほうにより多くの連邦予算がそそぎ込まれ、それはHIVの危険性が肝炎のそれよりより憂慮されているからである。そして、そういったHIVの患者は、研究と治療により多くの費用が回されるように戦っているからである。また、多くのC型肝炎に罹患した人は、10年から20年後に症状があらわれるからである。 しかし別の要因としては、カリフォルニア州のエメリビルのバイオテック会社のカイロン・コーポレーションの人が言うように、最初のC型肝炎が特定されたときに、その特許を収得するのにカイロン社があまりの多くの費用が必要とされたため、他の薬品会社が、この分野に参入することを妨げているということである。 「カイロン社は、骨をくわえた小さな犬のようなものであった。」とリゲル社の副社長で、化学部門の主任である、ドナルド・G・ペイヤンは言った。「私が思うに、カイロン社はほんとにゆっくりと、この分野に根を下ろしつつある。多くの人は、誰もこの分野に参加しようとしない」と。 ギリード・サイエンス社は、HIVの抗レトロウィルス薬と、C型肝炎の薬の開発で成功を治めた会社であるが、カイロン社から(特許にからみ)訴えられたあと、このC型肝炎の研究から降りた。バーテックス社は、会社のほうは、特許を侵害したとは言っていないが、裁判訴訟の最中である。 カイロン社の特許部門の主任であるロバート・P・ブラックバーンは、我が社の特許はすべての新薬開発をしようとする参入会社が利用可能であるが、それには、もし新薬がマーケットにでたときには、前金で、利用料とロイヤリティーを払わなければならないと言っている。つづけて、彼は、「ウィルスを発見し研究するのに着手した際非常に大きなリスクを抱えていたし、他の会社が、新薬を開発するときは、その過程で、この(リスク)を分かち合うことが大事だ」としている。 「明らかにバーテックス社のような会社は、今日C型肝炎の治療薬について、開発しようとせず、われわれの発見(=特許)におぶさっている。」とブラックバーンは言った。 依然、多くの研究者たちが賛同していることであるが、C型肝炎の治療薬を開発する際の最も大きな障害となるものは、試験管のなかで、このC型肝炎のウィルスを成長させることが不可能ということであり、その事実はウィルスを研究することや、可能性ある新薬のテストを非常に難しくしている。加えて、チンパンジー以外で、C型肝炎を持っている動物がいないので、そのチンパンジーを使用するため非常にコストがかかるということである。 研究者たちは、そういった問題を回避しようとし始めた。1999年に、ラルフ・バーテンシュレーガー博士は、ドイツのマインツ大学にいて、現在はハイデルベルグ大学にいるが、"レプリコン"と呼ばれる人工のウィルスシステムを開発した。そしてロックフェラー大学のライス教授は、当時セントルイスのワシントンの大学にいたが、これ(レプリコン)を改良した。 このレプリコンはC型肝炎のRNA鎖のいくつかで構成されており、このウィルスのプロテアーゼとポリメラーゼ酵素を含んでいる。このRNAは、培養されて成長したものが、肝臓の腫瘍細胞のなかに入れられることになる。 このレプリコンは、新しい完全なウィルスを複製はしない。しかし、プロテアーゼとポリメラーゼを使うウィルスは再製可能である。よって、薬品会社は、このレプリコンを複製する際に妨げていると思われる、プロテアーゼ阻害剤やポリメラーゼ阻害剤を研究するときは、このレプリコンを使用することが可能である。 「これ(レプリコン)は、明らかにどの研究グループも使用している画期的なものである。」とバイロファーマ社の副社長で開発研究部門のマーク・コレットは言う。 HIVウィルスが存在するとC型肝炎ウィルスは急速に変異し、薬に対し抵抗力をかちとるようである。よって、薬の併用(=多剤療法)が必要とされる。「どのようにして、薬が耐性を越えて薬の抗ウィルス効果を発揮するのかその機序はまだ誰にも解っていない」とアイデニックス・ファーマケチュアル社の肝炎臨床研究部門の副社長である、ナサニエル・ブラウンは言う。 しかし、彼や他の経営社が言うように、C型肝炎はAIDS治療のそれよりも、ずっと容易であろう。なぜならHIVウィルスは、感染した際細胞内の染色体に結合し、RNAをDNAに逆転写するので、総合的にウィルスを減らすのは困難であるからである。しかしC型肝炎ウィルスは、そのような(=逆転写)ことがないので、ウィルスが減少しているときはインターフェロンが効いているときであり、患者は治癒される。 カイロン社のC型肝炎研究部門のアミー・ウェイナー博士は、楽観している。「供に歩んでいかなければならないデータで明らかになることは、C型肝炎は治るということであり、それはHIV感染では依然としてまだ治る病気ではないけれどもということである。」と彼女は発言している。 ■参考までに■ Fuseonの治験以来個人ニュースでこんな話しがあります。 ・これまでの治療薬に全て耐性ができてしまった。新しい薬を待てない状況なのでT-20の治験に参加。一ヶ月も経たずにCD4は大幅増加、VL(ウィルス量)も1000分の1以下に。ところが、もう少し過ぎるとCD4は好調なのにVLが増加。悩んだ主治医が、インターフェロンの処方を加えるというケースがアメリカでは増えているとのことです。(肝炎治療でインターフェロン使用PHAのVLが上がらないというのが根拠のようです・・・。 |
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